このページは工事中です。もうすぐ完成させる予定です。



第1章  ディジタル回路のアナログ的部分


  純粋なディジタル回路などというものは、机上の理論であって、実際にはそんなも
のは存在しません。実際のディジタル回路を設計する際には気を付けなければいけな
いアナログ的な部分があり、それがとても重要になります。
  ディジタルICにも、入力が変化してから何nS以内に出力が変化するか、出力か
ら何mA流し出すことができるか、などの「特性(電気的特性)」や「定格」という
物が存在して、それを考えないで回路を設計すると、期待した動作をしなかったり、
ICが壊れてしまったりします。このような気を付けるべき点についてこのセクショ
ンで身に付けましょう。

  また、ここでの略号などの名称は、CQ出版社の74シリーズ規格表(一部につい
てはC−MOSデバイス規格表)を基本にして記述しています。他の文献では違う表
記になっている事もあります。


§1  絶対最大定格

  絶対最大定格というのは、一瞬でもそれを越えてしまうと壊れてしまうことがある
という値のことです。電源電圧(供給電圧)、入力電圧、動作温度、保存温度などに
ついて規定されています。これは、ICのシリーズ毎に大体共通なものです。これは、
規格表の始めの方に、掲載されています。絶対定格は、比較的遅い回路で普通の設計
をしていればまず越えるようなことはないでしょう。


§2  推奨動作条件/特性

  推奨動作条件というのは、規格表の性能が保証されるために守らなければならない
条件です。これを守らないと規格表に載っている性能が発揮されないこともあります。

  特性というのは、推奨動作条件を守った場合に保証される性能の事です。

  このセクションでは、この2つをあわせて電流に関するもの、電圧に関するもの、
タイミングに関するものにわけて説明していきます。

  なお、以下で「特性」という語を使っていますが、これには、当然上で説明した「
推奨動作条件」も含まれています。

1°  電流特性

・IIH、IIL
  TTLの場合には、Hを入力するときは電流が入力ピンに流れ込み、Lを入力する
ときは電流が入力ピンから流れ出てきます。(C−MOSの場合はほぼ0で、ほとん
ど考える必要がありません。)この電流がIIH、IIL です。

・IOH、IOL
  出力がHの時は、電流を出力ピンから流しだすことが出来ます。この流し出せる最
大電流はIOHと表記されます。同様に、出力がLの時は、電流を出力ピンに流し込む
ことが出来ます。この流し込める最大電流はIOLと表記されます。

・ICC/IDD
  ICの電源ピンに流れる電流です。TTLではICCと表記し、C−MOSではID
Dと表記します。C−MOSではかなり小さい値になっていますが、C−MOSの性
質として、入力が変化するとき(正確にいえば、入力がHとLの中間レベルにあると
き)に電源に大きな電流(貫通電流)が流れるので、動作させる周波数が高いと、結
構大きな電流が流れます。

2゜  電圧特性

・VCC/VDD
  規格表などに載っている通りの動作が保証される電源電圧です。TTLではVCCと
表記し、C−MOSではVDDと表記します。

・VIH、VIL
  入力が何V以上ならばHレベルとみなされるかという値がVIHで、何V以下ならば
Lレベルとみなされるかという値がVILです。(VIHとVILの間では、Hとみなされ
るかLとみなされるか保証されません。)

・VT[VT+,VT-]
  シュミットトリガ入力のICにおける、スレッショルド電圧がVT+とVT-です。シ
ュミット入力ICの入力特性には、ヒステリシス幅という物があり、入力がLからH
に変ろうとするときのスレッショルド電圧(VT+)の方が、ヒステリシス幅だけの電
圧だけHからLに変ろうとするときのスレッショルド電圧(VT-)より高いのです。

・VOH、VOL
  出力がHレベルの時、出力ピンの電圧が何V以上になるかの保証値がVOHで、出力
がLレベルの時、出力ピンの電圧が何V以下になるかの保証値がVOLです。

  電圧特性において、一番気を付けなければいけないのは、TTL出力からC−MO
S(電源電圧はTTLと同じ5V)入力への接続です。TTLのVOH<C−MOSの
VIHであるため、そのままつないだのではHレベルの時に不都合が起こることも考え
られるので、3。3kΩ程度でプルアップをしてつなげるとよいでしょう。
  なお、TTL入力のC−MOS(74HCTシリーズなど)は、入力レベルをTT
Lに合わせてあるのでTTLと直結できます。(当然これらの出力はC−MOSに直
結できます。)
  また、Lレベルの時やC−MOSの出力からTTLの入力に接続するときは問題あ
りません。各自確認しておきましょう。
  更に、あたりまえのことですが、電源電圧が違うときはレベルコンバーターを通さ
なければいけません。

3゜  トランジェント特性

  トランジェント特性とは、タイミングに関する特性のことです。単純ゲートの場合
は、入力の変化から出力の変化に要する時間だけですが、順序回路になると、もう少
しいろいろな時間的条件や特性といったものを考えなければなりません。

・tpd
  入力が変化してから、出力の変化が現れるまでの時間です。出力がHからLに変る
ような入力をしたときのtpdは、tpHL などと表されることもあります。同様にtp
LH 、tpL Z 、tpZL 、tpHZ 、tpZH といったものもあります。

・tw
  性能が保証されるために最低必要な(つまり、最短の)パルス幅です。これよりパ
ルスの幅が短いとICにパルスが入力されたとみなされない事もあります。
  また、ワンショット・マルチバイブレーターの出力パルス幅を表す場合にもこれが
用いられます。

・fmax
  クロック入力のあるIC(フリップフロップ、カウンターなど)のクロック入力の
最大周波数です。

・tsu、thold
  パルス・エッジの入力で、他の入力が出力に変化を及ぼすようになる(内部に記憶
される)ようなIC(その一番簡単な例はDフリップフロップ)において、エッジの
入力よりtsuだけ前からtholdだけ後までその入力を安定させておかなければきちん
と動作しません。


§3  TTLとC−MOS

  現在よく使われているディジタル・ロジックICは、大きく分けてTTLとC−M
OSの2種類です。
  一番大きな違いは、TTL−ICが電源電圧に5V±5%といった狭い範囲しか使
えないのに対し、C−MOS−ICは、4000B/4500B/5000Bシリー
ズで3〜15V、74HCシリーズで2〜6V、74ACシリーズで2〜5。5Vと、
(メーカーによって若干違いますが)TTLに比べて一般的に非常に広くなっている
ことです。そして、C−MOS−ICは、消費電流も、周波数が低い場合はほとんど
0に近いぐらいに小さい物になっていて、電池動作も可能です。
  このような点により、簡単なディジタル回路は電池動作のできるC−MOS−IC
で組まれる場合が多いのです。

  昔は、TTLに比べてC−MOSは遅いので、マイコン回路にはほとんど用いられ
ませんでしたが、今では74HC/ACシリーズなど、TTLと同程度の速度の物が
マイコン回路にも多用されるようになってきました。

  アナログスイッチなど、C−MOSにしか無いものもあります。また、プログラマ
ブルディバイダなど、TTLがC−MOSに比べて大幅に値段が高いものもあります。

  ここまで見ると、C−MOSはTTLと比べると全ての点において優れているよう
ですが、実際は、そうでもありません。C−MOSは、不要で、かつ無関係な入力も
ちゃんとVDDかGNDにつながなければならず面倒ですし、保存するときも導電スポ
ンジに付けておくか、アルミホイルにくるんでおくか、導電袋に入れておくかしない
と静電破壊ということを起こし壊れてしまうことがあります。


§4  規格表

  さて、回路を設計するとき、目的にあったICを選ぶためには、普通のICの場合、
CQ出版社から発売されている『規格表』を使うのが便利です。特に、『74シリー
ズIC規格表』は、TTL−ICと74HCシリーズ、74ACシリーズなどのTT
Lピン互換のC−MOS−IC、更に、4000B/4500Bシリーズピン互換の
74HCシリーズも掲載されていて、一冊持っていて損はないでしょう。

  74シリーズIC規格表を使って目的のICを探すときは、巻末の「用途別分類表」
を見ると簡単に見つけられます。

  例えば、ある電池動作のマイコン回路(全てC−MOS−ICで作られる)に、4
回路のD−FF(クロック入力は共通)が必要になったとし、クロック入力からのt
pdは40ns以下でなければならないとします。
  この場合、4000B/4500Bシリーズは遅いので適しません。よって、74
シリーズのC−MOS−ICを使うことになります。

  まず『74シリーズIC規格表』巻末の分類表の「Dレジスタ」というところを調
べます。(D−FFはDレジスタともいうことがあります。)4回路必要なので4回
路入り(4ビット)のICが過不足無くて都合が良いので、この条件にあったものを
ピックアップしてみると、10品種ありました。それらのうちC−MOSの物がある
のが175、379、399、298、173の5品種です。

  例えば175を選んだ場合、74HC175、74HCT175、74AC175、
74ACT175の4品種のうちどれを選ぶかという問題があります。この場合、ク
ロック入力からのtpdが40ns以内であればよいので、74HCTシリーズ以外は
問題ありません。もし、入力がC−MOSレベルでよいなら、3品種のどれでもよい
ので、HCを選ぶべきです。(必要の無い速いデバイスは、ノイズ対策などの点から
も出来るだけ使わないほうがよいのです。)
  TTLレベルの入力であるなら、ACTを使うか、HCの入力を3。3キロオーム
程度でプルアップして使うかのどちらかですが、後者は消費電力を出来るだけ押さえ
たい場合に抵抗による電力消費を考えるとあまりお薦め出来ません。74HCT17
5でもtpdが41nsなので1nsくらいなら大丈夫と考えて使ってもおそらくあま
り問題は生じないと思われます。

  大体このようなプロセスで使うICを決めていくことが多いです。製作を重ね、規
格表を使い込んでいくと、必要なICがさっと見つけられるようになります。
  また、規格表を読むと、おもしろい機能を持ったICを見つけたりして、その記憶
がそのうちに思わぬところで役立ったりすることもよくあります。


§5  ファンアウト

  74LS00では、規格表によると、出力での最大電流は、IOH=0。4mA、I
OL=8mAです。また、必要な入力電流の最大値は、IIH=20μA(=0。02m
A)、IIL=0。4mAです。出力がHレベルの時は74LS00の出力には74L
S00の入力をIOH÷IIH=20個つなげます。また、出力がLレベルの時も同様に
IOL÷IIL=20個つなげることになります。この時、74LS00の74LS00
に対するファンアウトは20である、といいます。

  また、74HC244では、IOH=IOL=6mAです。この時、74HC244の
出力に74LS00をいくつつなげるか考えてみましょう。出力がHレベルの時は、
74HC244のIOH÷74LS00のIIH=300個、出力がLレベルの時は、7
4HC244のIOL÷74LS00のIIL=15個それぞれつなげます。
  Hレベルの時しか使わないわけではないので、この場合、74HC244の74L
S00に対するファンアウトは15である、といいます。

  では、74HC244の74HC244に対するファンアウトはいくつでしょう。
  C−MOSの入力電流はほぼ0なので、電流の点だけ見ると、ファンアウトはほぼ
無限大ではあるのですが、この場合は、「入力容量」というものがボトルネックにな
ります。つまり、あまりたくさんつなぐと、入力ピンのコンデンサ成分(Cin)が累
積され、動かなくなることはありませんが、動作速度が低下してしまうのです。

  出力につながっている全てのコンデンサ成分の容量の和を負荷容量(CL )といい、
規格表の特性は、大体CL =50pFで(74シリーズ、74LSシリーズは違うが)
測定されたものなので、規格表の特性通りに動作させるためには負荷容量をそれ以内
に押さえなければいけません。
  出力電流の大きいデバイス(74ACシリーズや74Fシリーズなど)のほうが負
荷容量の影響は少ないです。

  Cinの値は、シリーズによって異なるのですが、だいたい10pF以内であること
が多いようです(例外あり)。74HC244のCin=10pFとすると、規格表の
性能が保証されるファンアウトは5という事になります。しかし、電流容量と違いこ
の場合は動作しなくなるわけではないので、ぎりぎりのタイミングで設計されたマイ
コン回路でもない限りそう神経質になることもないでしょう。



第2章  ディジタル回路とアナログ回路


  この章では、ディジタル回路を設計する場合に必要になるアナログ回路に関する知
識についてかじってみようと思います。アナログ回路といっても、トランジスタをば
りばり使うわけではなく、(もちろんばりばり使えるならそれにこした事はありませ
んが)簡単なスイッチ回路や表示回路、電源回路、センサー回路、そして、便利に使
えるアナログIC回路などについて一応設計(というよりは模倣)できるようになる
ことを目標にしてみようと思います。


§1  マン・マシン・インターフェース回路

  機械と人間の接点となる回路は、ある意味では一番重要な回路と言えます。ここで
は、簡単なディジタル回路でも使われる、スイッチ入力回路、LED出力回路、ブザ
ー回路などについて考えます。

1゜  スイッチ入力回路

  スイッチの入力をディジタル回路に使うことが非常に良くあります。回路の都合に
よって、プッシュスイッチを押せばHになる出力が欲しかったり、Lになる出力が欲
しかったり、押してから一定時間Hになる出力が欲しかったりします。

  スイッチをオンにすればLが出力される回路はいたって単純で、(チャタリングを
気にしなければ)スイッチ1つと抵抗1つです。
  スイッチをオンにすればHが出力される回路も、上と基本的に同じですが、TTL
の場合は、抵抗の抵抗値をかなり低くしなければならず、消費電力やノイズの点から
あまりおすすめできません。インバーターを使うか、回路を工夫しましょう。

  押してから一定時間HやLになる回路は、ワンショット・マルチバイブレーターか
それに等価なD−FFを使った回路を使います。
  この場合、チャタリングは吸収されるので問題になりません。

  チャタリングを防止する方法は、コンデンサとシュミットトリガを使う方法、ワ
ンショット・マルチバイブレーターを使う方法、D−FFを使う方法、RS−FFを
使う方法など、いろいろあります。

2゜  LED/ブザー出力回路

  はっきりいってこれらの回路は非常に簡単です。LEDは最近の高輝度タイプなら
ば数mAで光ってくれますし、ブザーも、発振回路を内蔵したものがポピュラーにな
っていますので、抵抗1本でICとつなげます。

  LEDの表示に、「ダイナミック表示」というのがあります。これは、LEDの残
像効果を利用して、時分割で表示する方式です。

  気を付けることは、出力電流です。ICの出力電流を越えないようにしましょう。
とはいっても、40シリーズの場合どうしても越えてしまいます。この場合、少しく
らいオーバードライブしてもかまいませんが、その場合、その出力を他の入力につな
がないようにしなければいけません。
  また、TTLの場合は、Hで点灯させるということは出力電流の関係で基本的にで
きません。


§2  コイルの性質

  コイルは「交流を通しにくい」という性質(この時の抵抗のことを難しい言葉でい
うと「誘導性リアクタンス」といい、その値は、周波数をf(Hz)、円周率をπ、
コイルのインダクタンスをL(H)とすると、2πfL(Ω)です)があります。
  これは、コイルが、周囲の「変化」を嫌う性質を持っていて、その性質が変化を打
ち消すような働き(自己誘導作用)をするからです。
  この性質によって、コイルにかけていた電圧を急に取り去った場合に、コイルに逆
方向の起電圧が発生します。これを逆起電圧といい、この対策をしないとICが壊れ
ます。対策は、コイルに並列にダイオードを付けることです。
  また、これはコイル製品にかぎったことではないですが、使おうとする部品の規格
をよく読んで制御回路を組んでください。モーターの場合は、専用制御ICを使うの
が一番手っ取り早くてよいでしょう。


§3  センサー回路

  電子回路においては、電気的な量(電気量:電圧、電流、抵抗など)だけしか情報
として扱えません。しかし、時には、電子回路において、電気量以外の様々な物理量
(光、温度、磁気、圧力、ガス濃度)などを扱いたいこともあるでしょう。センサー
(sensor)というのは、これらの電気量以外の物理量を電気量に変換するものです。
  センサーにも2種類あって、物理量の入力によって、電気量がアナログ的に変化す
るものと、ディジタル的に(つまり、ONかOFF)変化するものがあります。
  前者をディジタル回路で利用する場合は、マイコン回路ではA−Dコンバーターと
いう物を使い、また、コンパレーター(電圧比較器)を使ってディジタル2値化信号
に変換して使うこともあります。

  センサーを使う場合、説明書などに応用回路が載っていることもあり、それをその
まま使うのが安心です。また、様々なセンサーを使う場合、ここでは説明しきれない
ので、センサについての本を参照しながら回路を組んでください。


§4  電源回路

  電子回路を動かすためには、必ず電源が必要です。それも、できれば出力電流が変
化しても出力電圧がほとんど変化しない電源(安定化電源)であるべきです。
  小さな回路では電池を使い、ある程度以上の規模のものにはAC100Vを使う安
定化電源を使います。
  AC電源を使う安定化電源には、シリーズ電源(いわゆる普通の電源)とスイッチ
ング電源の2種類があり、前者の特長は、回路が簡単、ノイズが少ないといったこと
で、後者の特長は、出力できるW数が同じ場合シリーズ電源に比べて小型である、発
熱が少ない(効率が良い)、掘り出し物(ジャンク品)は非常に安い、といったこと
などです。

  とりあえず、電源回路においては、3端子レギュレーターという非常に便利なもの
があるので、それを使えるようになっておけばよいでしょう。


§5  発振回路

  発振回路について若干補足説明しておきましょう。発振回路というのは、H、Lを
一定の周期で繰り返す出力を出す回路で、無安定マルチバイブレーターともいいます。

  安定した出力が必要な、例えばマイコンのシステム・クロックなどの用途には水晶
発振回路を使います。水晶発振回路を使う方法には大きく分けて2種類あって、1つ
は水晶発振子にトランジスタかロジックを付けて発振させる方法、もう1つは発振回
路と水晶発振子が1つのパッケージに納められたものを使う方法です。後者の場合は
電源を加えれば発振するので手軽です。EXO−3といったところがお薦めです。

  そんなに安定した発振でなくてもよい場合は、3段か5段のリング・オシレーター
が手軽でよいです。もっと低い周波数で発振したい場合は、ロジックやトランジスタ
と抵抗・コンデンサを組み合わせて発振したり、555を使ったりするとよいでし
ょう。また、ブザーを鳴らすだけならば、発振回路内蔵のブザーを利用するのが一番
よいです。

  本当は、発振回路は非常に奥が深いものなのですが、ディジタル回路で利用する場
合には、非常に簡単にできるのです。


§6  Opアンプ回路とは

  現在のアナログ回路において重要なのは、トランジスタなどの能動部品よりはむし
ろ抵抗やコンデンサなどの受動部品です。これは、OpアンプというICがよく使
われるようになり、アナログ回路においてもトランジスタがあまり用いられなくなっ
たからです。
  つまり、アナログ回路設計は、Opアンプ回路について覚えればそれで十分という
ことです。
  Opアンプを使えば、電圧増幅回路、電流増幅回路、コンパレーター、電圧加算回
路といったいろいろなアナログ回路が簡単に作れます。
  Opアンプ回路について、ここでは詳しくやりません。(この講義の題名を思い出
してください。)勉強したい人は、トラ技のOpアンプ特集や、Opアンプに関する
書籍を読んでください。


第3章  失敗の研究


  初心者の人が雑誌や本などの記事の回路を実際に作って、動かないのは、だいたい
はんだづけ不良か配線忘れ、配線間違い、そして配線のショートのうちのどれかです。
  自分で作った回路が動かない場合、設計間違い、特にICの使い方を間違えたりし
ていることが多いようです。また、特にマイコン回路の場合はノイズで誤動作してい
ることもあります。


§1  ノイズの研究

  ノイズなどによる誤動作防止の観点から気を付けなければいけないことを幾つかあ
げておきます。

  C−MOS−ICを使う場合、全ての入力には何か必ずつないで、絶対に何もつな
がない状態(フロート)にしてはいけません。電源電流がかなり大量に流れたりして、
場合によってはICが完全に壊れてしまうこともあります。
  TTLの場合は、使用しない入力はフロート状態にしてもかまいません。この場合、
ぎりぎりでHレベルになりますが、Hレベルとして利用する時は、このままでは不安
定なので、電源(VCC/VDD)につなぐなり、プルアップするなりするとよいでしょ
う。
  また、当然ですが、使わない出力は何もつながない状態にしておなければいけませ
ん。勘違いしてVCC(VDD)やGND(VSS)につないでしまうとICが壊れてしま
います。

  ディジタルICにおいて、必要以上に速いデバイスを使うのは考え物です。速いデ
バイスは、消費電力、価格などの点からも不利であることが多いのですが、ノイズも
より多くだしやすいことが多いのです。同様の理由で必要以上に出力電流の取れるデ
バイスを使うのもあまりお薦め出来ません。とはいってもC−MOSでは74HCシ
リーズ、TTLでは74ALSシリーズぐらいまでなら問題にならないでしょう。

  ディジタル回路とアナログ回路が接続されている場合、基本的には、電源を分離し
て(共通にせず)、GNDラインも、一点で接続するか、あるいはフォト・カプラな
どによって完全に絶縁してしまうべきです。これにより、微小な信号を扱うアナログ
回路の場合、ディジタル回路の影響が出にくくなります。逆に、モーター制御回路な
どの電流を大量に使う回路がディジタル回路に影響を与える場合は、それに加えて必
要に応じて、アルミ板などでシールドして、距離的にできるだけ離すとノイズの影響
を受けにくくなります。

  ディジタル回路の中にアナログ回路(アナログ的な動作をする回路、例えばワンシ
ョット・マルチバイブレータや発振回路、微積分回路など)が存在することがしばし
ばあります。このような場合、ディジタル回路だけで構成されているシステムに比べ
てノイズに弱くなります。

  ICの電源ラインのノイズは即誤動作の原因になります。これを防止するためには
バイパス・コンデンサ(パスコン)を電源ラインに付けなければいけません。
  付け方の目安としては、基板に33μF程度のタンタル・コンデンサを1個、IC
1つにつき0。01μF〜0。1μFのセラミック(積層セラミック)・コンデンサ
を付けるのがよいでしょう。
  また、電源ラインの抵抗、つまりインピーダンスが高いと、電流の変化による電圧
の変化が大きくなってしまい、非常にノイズの影響による誤動作が起こりやすくなり
ます。

  ノイズというわけではありませんが、コネクター(ICソケットを含む)は接触不
良をおこしやすいものです。コネクターのピンを手で触れたりしないようにするのは
もちろんの事、不要な抜き差しや、ICの足をしっかりフォーミングしないで(IC
の足を90°にすることを「フォーミングする」という)ICソケットに差したりす
ることもソケットが故障する原因になります。

  CR遅延/発振回路の出力や長距離を伝送したときなどの信号など、信号の立ち上
がり(及び立ち下がり)の遅い(なまった)信号の入力には、シュミットトリガを用
いたほうがよいです。このほうがノイズに強くなります。

  マイコン回路などにおいて、バス・ラインを長く伸ばすときは、きちんとバッファ
ーを通しておかないと、ノイズがのってシステム全体に悪影響が及ぶことがあるので
気を付けましょう。バスラインをプルアップするのも良いです。また必要に応じてフ
ラット・ケーブルなどをシールドしたほうがよい場合もあります。マイコン回路はノ
イズのせいで動かないこともよくありますので気をつけましょう。


§2  うっかりミスの研究

  うっかりしているとよくミスを犯します。どんなミスがよく起こるのでしょうか。
研究してみましょう。

1°  やけど

  やけどはしないように気を付けなければいけません。こて台でやけどすることもあ
るので気を付けましょう。
  不幸にもやけどをしてしまったときは、絶対に30分、出来れば1時間は流水で冷
やしてください。これを怠ると痕が残ります。ひどいときは無理せずに保健室なり病
院なりに行きましょう。

2°  被覆をむくときの失敗

  被覆線、特にラッピングワイヤーの被覆を向く場合には、極力ワイヤーストリッパ
ーを使いましょう。ビニール被覆の場合、カッターで切るとうまくいく場合が多いよ
うです。

3°  ICのソケットへの差し間違い

  ICの逆差しをすると、だいたいそのICは壊れてしまいます。これは、ICソケ
ットに方向があることを知っていて、それを守れば、避けられるでしょう。
  ICをソケットに差す場合に、間違った型番の物を差してしまうことがあります。
これを避けるためには、ICの配置図を書いて、それにICの型番や方向を書き留め
ておきましょう。

  また、配線するときはICを下から見た状態(Bottom  View)ですが規
格表にはICを上から見た状態(Top  View)でのピン配置が書かれています。
これを勘違いするとどうにもなりません(ICをひっくり返せば何とかなりますが、
そんな恥ずかしいことはしないようにしましょうね)。

4°  配線忘れ

  配線忘れをしないように、回路図の上を配線したところだけ蛍光ペンで色を付けて
チェックしましょう。特に、一番配線を忘れやすいのは、ディジタルICの電源ピン
です。ディジタルICの電源ピンの配線(パスコンの配線を含む)は、(特に自作の
回路の場合)回路図に明記されていないことが多いからです。


§4  ケースへのおさめかた

  せっかく完成した作品も、ケースに入れておかないと、大体すぐ壊れて(または壊
されて)しまいます。とりあえず何でもいいからケースに入れておいたほうがよいで
しょう。このセクションでは、ケース加工のやり方、ケースの選択のしかたなどにつ
いて身に付けましょう。

1°  ケースの加工に使う工具

  ケースは、まさか素手で加工することは出来ないので、工具を使って加工するわけ
ですが、では、どんな工具が必要になるのでしょうか。

・ドリル
  いわずと知れた、穴を開ける道具です。自分で基板を作った場合の穴開けに使う小
型のものから大き目の物までいろいろあります。DIYショップなどで実際に見てお
きましょう。ケース加工にはプラスチックケースの穴開けにしかケース加工では使わ
ないのであれば基板穴開け用の小型のものでよいですが(基板を自作するときの穴開
けには垂直にドリルを上下できるものがよい)、アルミシャーシや大きめの木工用に
はハンドドリルを使った方が便利だと思われます。
  穴を開けるのは、スイッチやコネクター(ジャック)のため、また、スペーサーを
介して基板を保持するためのビス穴のためなどです。

・リーマ
  穴を広げる道具です。リーマで広げた穴はきれいに出来上がります。しかし、注意
しないとボコボコの穴になることもあります。

・ヤスリ
  穴をきれいにするものです。特に、アルミケースは、しっかりヤスリがけをしてお
かないと、アルミのトゲ(バリ)で、けがをしたり、ジャックやスイッチなどの動作
がおかしくなったりするので気を付けてください。
  ヤスリにも色々種類がありますが、用途に合ったヤスリを選びましょう。

・ゴム足
  ケースの下に張り付ける(または、ビス止めする)ゴムの足です。

・その他
  アルミに大きな丸穴を開けるシャーシパンチや、金属を自在に切れるハンドニプラ
などもあります。

2°  プラスチックケースの特徴

  プラスチックケースは、安価で、加工が比較的容易で、軽い、といった理由から非
常に良く使われます。ただし、加工をするとき、特にドリルで穴を開けるときにヒビ
がはいりやすいので気をつけましょう。
  また、プラスチックなので熱で溶けます。半田ごてで溶かさないように気を付けて
ください。この性質を利用して半田ごてで穴を開けてもよいですが、この場合はそれ
用に別にこて先を用意しておくべきでしょう。

3°  アルミケースの特徴

  アルミケースは、割れにくく頑丈、熱に強い、曲げることが出来る、放熱効果があ
り、放熱器の代わりになることも出来、電磁シールド効果によって外来ノイズをある
程度防げる、など、長所が多い反面、比較的高価、加工が結構大変、意外と重い、な
どの短所もあります。
  ノイズのあまり許されないアナログ回路では、アルミケースを使うことが多いです
が、普通のディジタル回路ではあまり用いられません。


ホビーエレクトロニクス・ベースページ | 木村光範ホームページ
ご意見ご感想など、何かございましたら、お気軽に 電子メールをください。

mkimura@trans-nt.com